パワエニ

古いMac、旅行、日々の出来事など徒然に綴るBlogです。

深圳の油絵村


深圳市の中心街、羅湖(ローフー)から地下鉄3号線で約30分。「大芬(ダーフェン)」駅で降りてすぐの場所に、たくさんのアトリエや画廊が集う「油絵村」という、世界的に有名な絵画(模写)の集積地帯があります。

 

僕がここを初めて訪れたのは15年前、深圳に単身赴任していた頃です。

 

会社の先輩から、「ゴッホのひまわりだけを毎日何十枚も書き続けている画家がいる」

「本物と見分けがつかないほどのモネやセザンヌの絵画がゴロゴロしている」と言う話を聞き、すぐに行ってみたのです。

15年前当時、地下鉄3号線はまだ開通していなかったので、羅湖のアパートからタクシーで出かけたのですが、深圳市外のわりとごちゃごちゃとした雰囲気の町の一角に油絵村はありました。

 

当時はとにかくゴッホの模写、とりわけひまわりのオンパレード。そこで何枚かの絵を買い、友人にプレゼントしたり、アパートに飾ったり。

 

お気に入りの絵は帰任時に引越し荷物と一緒に日本に落ち帰りました。なかでもやはり一番のお気に入りは「ゴッホのひまわり」でした。油絵村の中でも圧倒的に出来が良く。自分的には100万円を超える価値があると勝手に思い込んでいる絵です。当時のレートで1300円くらいで買ったのですがね(笑

この絵は現在自宅のダイニングに飾ってあり、食事時の家族の心を和ませています。

 

この夏深圳に出張した際、実に久しぶりに油絵村に出かけてみました。

深圳はこの10年くらいの不動産ブームで市街地より郊外が目覚ましい発展を遂げていました。

流石にこの数年は不動産バブルが弾けて、いっときの勢いは無いというものの、大芬の幹線道路のど真ん中にどーんと高架ができていて、その上を地下鉄の車両が走っていました。

しかしながら、街の光景は15年前当時と変わっておらず、相変わらず洗練されないごちゃごちゃ感が残っていました。

「大芬油絵村」とは

約0.4 平方kmのエリアに約1200軒の画廊やアトリエが密集しているといわれています。油絵村を散策がてらアトリエを覗いてみると、キャンバスに向かっている画家たちや、子どもたちに絵画を教えている絵画教室などが目につきます。

また、敷地内には立派な美術館もあります。

 

この油絵村の起源といわれているのが、35年ほど前まだ畑のような場所だった 大芬の地に、ある香港の画商が移り住み、複製画の工房を開き、その後中国各地から画家や画家の卵が集まって、ゴッホやモネ、セザンヌなどの複製画の一大輸出拠点となったのだそうです。

そしてついには90年代のピークの頃、欧米のホテルに飾られる絵画や土産物屋等に出回る絵画の約半数はこの油絵村の作品だったといわれています。

 

約15年ぶりに訪れた油絵村

・変わらない点

 密集する画廊やアトリエの軒数や雰囲気自体は昔と変わっていないなぁという印象です。

絵画ファンには世界的に有名な場所だけあって、相変わらず外国人特に欧米人が目につきます。

 

・変わった点

①画家さんが代替わりしていて、若い人が多くなりました。幾つかの画廊では先代が息子さんに指導している姿もちらほら見かけました。

僕も、親子でゴッホの複製画を描いている画廊で、風景画を1枚購入。お土産に日本に持って帰りました。

 

②若い画家さんや、先代の画家さんのから手解きを受けている発展途上の画家さんが多くなったせいか、魂のこもったような古典絵画の複製画が少なくなった印象です。

風景画にしても、絵の具を塗り重ねたような作風のものより、水彩画のようなあっさりした作風のものや、先鋭的な作品が多くなっている印象を受けました。

15年前当時、圧倒的に多かったゴッホ、特にひまわりが少なくなっていましたね。

 

スマホを片手に風景を模写している姿も多く見られ、写実的な完成度は素晴らしいものがるのですが、絵画から深く伝わってくるものがすこし薄くなったような気も。。。

スマホの情景を描写しているの図



油絵村で買った絵画をどう持ち帰るか



木枠に貼り付けられた絵画もあるのですが、工房で売られている絵画は殆どがキャンバスに描きっぱなしの絵が多いです。

 

ラップが一枚ごとに被せられているので、絵の具移りとかはしていないのですが、絵の具のなんとも云えない香りが漂っていて、描き上がったばかりの絵を入手したという特別な喜びがあります。

 

キャンバス状の絵は床から腰ほどの高さに積んでありますので、全てを確認するのは不可能です。せいぜい上から10枚ほど捲って、これだと思う画をぱっと買ってしまうという買い方をお勧めします。

買って後悔するような絵ではないですし、何より、日本で買うと十万円もするような絵がわずか数千円で買えてしまうのです。。

 

日本に絵を持ち帰る場合は、キャンバスのまま購入し、丸めてスーツケースに入れて持ち帰るのが無難です。

 

油絵村の中にはキャンバスと木枠、額縁を取り付けてくれるお店もありますが、そうなると持ち帰るのが大変。

日本に帰った後で、画材屋さんで木枠やキャンバスを貼り付ける用具などを購入すると良いと思います。一式4〜5千円位で購入できます。

買った画を貼る木枠と鋲などを画材店で購入

ちなみに絵画自体は、キャンバスの状態のものでしたら、だいたい100元(約二千円)からで購入できるので、木枠等を日本で購入しても1万円以下で素敵な絵画が自宅に飾れることになります。

号数が大きな絵画になると、数万円という値付にはなりますが、それですらデパート等で売っている絵画ですと、数十万円という値札が付いています。

このへんは現地に行ったもの勝ちですね。

絵にもよりますが、絵の代金と往復の飛行機代を併せても、日本で買うよりより安く済んでしまう場合があります。絵画ファンのかたは是非行かれてみてください。

 

最後になりますが、このところの深圳は大きな事件が起きた矢先ですので、くれぐれも状況をみて足を運ばれるようにお願いします。

 

深圳は治安が良い街です。TVのニュースでも報道されているように、現場に花束や添え書きを手向け、涙を流し、祈りを捧げる心優しい人たちが多い都市なのですが。。

 

今回の事件はとても残念で心が痛みます。

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