海外でスターバックスの経営不振がニュースになっています。
日本のスタバは好調らしいのですが、十数年来のスタバファンとして、ニュースを目にするたびに少し寂しい気持ちになります。
そうしたなかで、このところ日頃よく行くスタバにも「なんとなくわかる」違和感を感じています。
それは、ちょっとした価格の高さや、以前と比較するとホスピタリティを感じなくなった接客、居心地の変化……。
もちろん、スタバは今も素晴らしいカフェです。
でも、昔から通っているファンだからこそ感じる「変化」が、海外のスタバ不振の事例に漏れず...?という状況が押し寄せてきていると感じるのは気のせいでしょうか?
スタバ2024年度の業績。(ワールドワイド)
調べてみたところ、以下のようです。
• 売上高: 2024年度第4四半期の売上高は前年同期比3%減の91億ドル。
• 既存店売上高: 世界全体で前年同期比7%の減少、特に米国では取引数が10%減。
• 中国市場: 競争の激化や消費者行動の変化により、2024年4~6月期の売上が前年同期比14%減。
これらの業績悪化を受け、スターバックスは2025年度の業績見通しを一時的に停止し、新たに就任したブライアン・ニコルCEOの下で事業戦略の再評価を行うと発表したのです。
また、組織の効率化を図るため、コーポレート部門で約1,100人の人員削減を実施する予定です。
その一方で日本のスタバの業績は好調
一方で、日本市場は好調を維持しており、2024年9月期において日本市場で過去最高の売上高を達成しています。具体的には、売上高は3,215億円となり、前年から14%の増加を記録しています。
この好調の背景には、家族連れをターゲットにした店舗の開設や、お茶に特化した「ティー&カフェ」の展開など、多様な顧客層のニーズに応える取り組みが功を奏し日本独自の戦略が大きく寄与しているようです。
さらに、2024年には国内店舗数が2,000店を超え、マクドナルドに次ぐ外食チェーン第2位の規模となりました。年間100店舗のペースで新規出店を続けており、さらなる市場拡大が期待されています。
しかしながら、海外のスタバ不振のニュースを見るに、日本だけの好調もそう長く続かないのでは?と危惧する点がいくつかあります。
1. 価格の上昇と「ちょっと高すぎる」感覚
スタバが高級志向のカフェであることは昔から変わりません。
でも、最近は「ちょっと高すぎるのでは?」と感じることが増えました。
例えば、かつては500円程度で楽しめたフラペチーノが、今や700円を超えることもあります。さらに、サイズをグランデにすれば800円近くなることも珍しくありません。
もちろん、原材料費の高騰やインフレの影響は仕方のないところです。
しかしながら、日常的に利用するコーヒーチェーンとしては、少し手を出しにくくなったのも事実。
最近ではコンビニのコーヒーも美味しくなり、サードウェーブ系のカフェも増えています。「スタバじゃなくてもいいかな」と思う人が増えているのではないでしょうか。
最近、僕もお店のテイクアウトはコンビニのコーヒーだったり、出かける際は自宅でドリップしたコーヒーをタンブラーに入れて持っていくことが多くなりました。
2. サービスの低下と「特別感」の喪失
スタバの魅力は、美味しいコーヒーだけでなく、スタッフの笑顔や温かい接客にもありました。
バリスタさんが「お仕事頑張ってくださいね」と優しく声をかけてくださったり、カップにメッセージを書いてくれたり……。
でも、最近はそうした「特別感」をあまり感じなくなりました。
店舗によっては、忙しそうにしていて、接客が機械的になっているところもあります。
行列に並んで、カウンターでドリップコーヒーをオーダーすると、既にタンクが空になっていて、「すみません。5分お待ちいただけますか?」ということが最近頻繁にありました。
あらかじめ店に入る手前でモバイルオーダーしておけば、少しはがっかり感が緩和されるのかもしれませんが、僕にとってスタバは単なるコーヒーショップとは違う期待感がありますので、モバイルオーダーはほとんど利用したことがありません。
モバイルオーダーによって、それまでスタバらしさの一つであった「人と人のつながり」が薄くなっているような気がしてしまうんですよね。
新しい仕組みの導入により、昔のような「おもてなしの心」が、少しずつ減ってしまっているように感じます。
3. 店内の居心地が変わった?
かつてのスタバは、「長居してもいい空間」でした。
本を読んだり、仕事をしたり、ゆっくり話したりするのに最適な場所。
でも、最近は「ちょっと落ち着かない」と感じることが増えました。
一部の店舗では座席数が減り、カウンター席ばかりになったり、混雑時には長居しづらい雰囲気があり、リラックスできる空間ではなくなりつつある気がします。
さらに、新しいデザインの店舗は、洗練されすぎていて、以前のような「居心地の良さ」が薄れてしまっていることも。
4. 競争が激化し、「選択肢」が増えた
日本でもタリーズなどの競合するカフェが増え、コーヒー好きの選択肢が広がりました。
価格や味、雰囲気などを考えると、「スタバ一択」だった時代は終わりつつあるのかもしれません。
また、中国に行くと「瑞幸咖啡(luckin coffee)」が街の至る所にあります。
中国ではスタバより、この瑞幸咖啡(luckin coffee)の方が人気があり、店舗数も中国全土で1万4千点ほどあり、これはスタバの2倍ほどの店舗数となります。
店内のレイアウトはほぼシンプルなカウンター席で、オーダーはすべてスマホのアプリからとなります。
価格もスタバの半値程度だったと記憶しています。
それでも、やっぱり僕はスタバが好き!
ここまで、世界的なスタバの経営不振について日本でもその兆候交え「なんとなくわかる」理由を挙げてきました。
でも、それでも僕はスタバが好きです。
10年ほど前、中国の深センに赴任していた頃、会社帰りにスタバに寄って一息すると、なぜかしみじみほっとしたものです。
加えて、仕事に追われる休日も、特にプレゼン資料などは豊かなイメージが浮かび、仕事がはかどりました。
つまり、スタバはただのカフェではなく、仕事のモチベーションをあげてくれて、後押しをしてくれた、いわば僕にとってパワースポット的な場所でした。
だからこそ、スタバにはもう一度、「特別な場所、サードプレイス」であってほしいと思っています。
これからも僕は、スタバのファンであり続けます。