暮らしに合わなくなって棚の奥へ追いやられることもあれば、何十年もたってから、思いがけない役割を与えられることもあります。
最近、わが家でそんな「現役復帰」を果たしたのが、25年ほど前に買ったPowerBook G3用のPCケースです。
きっかけは、会社を辞めたことでした。
20年間、仕事の相棒はTUMIだった
会社勤めをしていた頃から、約20年にわたってTUMIのビジネスバッグを愛用してきました。
これまでに買った黒いビジネスブリーフは、おそらく6〜7個。一つを3年ほど使っては、次のモデルへ買い替えるというサイクルでした。
もっとも、壊れたから買い替えたわけではありません。
新作を見ると欲しくなり、それまで使っていたバッグをオークションに出す。そんなことを繰り返していたのです。
TUMIの魅力は、まずバリスティックナイロンの丈夫さにあります。
一般的な通勤バッグなら、2年ほど使うと角が擦れたり、生地が傷んだりしてきます。ところがTUMIは、少々乱暴に扱ってもなかなかへこたれません。感覚的には、普通のバッグの2〜3倍は使えそうです。
そして、もう一つの魅力が収納です。
PC、タブレット、書類、財布、キーケース、本。持ち歩く物それぞれに「ここへ入れてください」と言わんばかりのポケットが用意されています。
一度その便利さに慣れると、ほかのバッグへ移る気が起きなくなるのです。
会社を辞めると、バッグも変わる
現在持っているTUMIのブリーフケースは二つあります。
一つは普段の通勤に使っていた薄型タイプ。もう一つは、荷物に合わせて容量を広げられるタイプです。
以前は、薄型を日常用、もう一方を一泊程度の出張用として使い分けていました。
ところが7月に会社を辞め、毎朝決まった時間にブリーフケースを持って出かける生活が終わりました。
すると、あれほど毎日使っていた薄型のバッグに、ほとんど出番がなくなりました。こちらはオークションに出そうと思っています。
容量を広げられるほうは、京都などへの小旅行でまだ活躍してくれそうなので、手元に残すことにしました。
生活が変われば、必要なバッグも変わる。
考えてみれば当たり前のことですが、20年間の相棒を使わなくなると、少しばかり時代が動いたような気がします。

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新しい相棒も、やっぱりTUMI
ビジネスブリーフに代わって、今の主役になったのはTUMIのリュックです。
結局、またTUMIなのです。
スーツには似合いませんが、今ではスターバックスへ行くときも、街を歩くときも、このリュックを持ち出します。春先のパリや、香港・深圳を歩いたときにも、ちょうどよい大きさでした。
ポケットが多いので、入れる場所さえ決めてしまえば使い勝手は抜群です。
そして、このリュックにMacBookを入れるときは、必ずケースに収めます。
傷だらけのMacBookというのは、どうもMacらしくない気がするのです。
もっとも、会社で使っていたWindowsノートは、裸のまま無造作にバッグへ放り込んでいましたが。
この扱いの差については、深く考えないことにします。

ケースを使いたくて、PowerBookを買った時代
PCケースには、昔から妙なこだわりがありました。
1990年代半ば、僕がPowerBookを使い始めた頃、「Wet Suits」というノートPCケースが話題になりました。
厚手のウレタン素材で作られ、PCにぴったりとフィットするケースです。鮮やかなオレンジ色で、縁取りの色も少し違っていて、当時としてはかなり洒落ていました。
どうしても欲しくなり、秋葉原のT-ZONEまで買いに行ったのですが、ケースは10インチ程度の小さなノートPC向け。大きくて分厚い僕のPowerBookには入りません。
普通なら、そこで諦めます。
ところが僕は、そのケースを使うためにPowerBook Duoを買い足してしまいました。
ケースに合わせてパソコンを買う。
今考えても、順序が完全に逆です。
案の定、拡張性の低いDuoではできることが限られ、結局オークションへ出すことになりました。
「Wet Suitsもお付けします」と書いたところ、落札希望者から「スキューバはやっていないのですが……」という連絡をもらったのも、今では懐かしい思い出です。

棚の奥から戻ってきた、25年前のケース
現在使っているPCケースは、1999年頃のMacworld Expoで買ったものだったと思います。
大きくて分厚いPowerBook G3に、ぴったり合うウェットスーツ素材のケースです。中央には白いAppleマークが入り、PowerBook G3らしい雰囲気があります。
その後のMacBookには大きすぎたため、十数年もの間、戸棚の奥で眠っていました。
ところが、ビジネスブリーフを使わなくなり、MacBookをリュックへ縦に入れられるケースを探し始めると、なかなか理想的なものが見つかりません。
そんなとき、棚の奥からこの古いケースが出てきました。
試しに使ってみると、これが驚くほど具合がよかったのです。
このケースは左側、右側、天面の三方向にファスナーが開きます。リュックの中へ縦向きに入れ、上になった部分だけ開けておけば、MacBookを上からするりと出し入れできます。
ケース単体で見れば、今のMacBookには明らかに大きすぎます。
けれども、リュックの中で衝撃を和らげるインナーケースとして使うなら、その余裕がかえって便利です。ぴったりしていないからこそ、出し入れがスムーズなのです。
最新のMacBookを守っているのが、25年前のPowerBook G3用ケース。
当時は想像もしなかった組み合わせです。

暮らしが変わると、古いモノに新しい役割が生まれる
20年間使い続けたTUMIのビジネスブリーフは、会社員生活の終わりとともに出番を減らしました。
代わってリュックが日常の相棒になり、その中では25年前のPCケースが再び働き始めています。
新しいモノへ買い替える楽しさもあります。
けれど、昔好きで選んだモノが、長い休眠期間を経て今の生活にぴたりとはまる。その喜びは、新品を買ったときとは少し違います。
モノにも、第二の人生がある。
棚の奥で眠っている古い道具も、こちらの暮らしが変わる日を、案外じっと待っているのかもしれません。
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