パワエニ

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クルマのお話(BMW2000CS vs トヨタ1600GT)

2回に渡りクルマのお話をしましたので、Blogに登場した5台のクルマについてのスペックを一覧表にまとめてみました。

こうみると欧州の名車に対して当時の日本車もいい線いってるように見えますが、まだまだ技術の差が歴然とあったようです。

特に「雨の日には車をみがいて 第四章」に登場する、BMW2000CS とトヨタ1600GTの数字以外の技術差をAIなども用いてまとめてみました。

 

車種 BMW 2000CS トヨタ1600GT スカイラインGTR ロータス ヨーロッパ アルファロメオジュリエッタ
生産国 西ドイツ 日本 日本 イギリス イタリア
エンジン 直6 SOHC 2.0L 直4 DOHC 1.6L 直6 DOHC 2.0L 直4 DOHC 1.6L 直4 DOHC 1.3L/1.6L
最高出力 120馬力 125馬力 160馬力 105~126馬力 90~129馬力
最大トルク 167 Nm 142 Nm 180 Nm 146~153 Nm 121~148 Nm
0-100km/h加速 約11秒 約10秒 約8.8秒 約7秒~8秒 約9秒~11秒
最高速度 約190km/h 約200km/h 約200km/h 約200~220km/h 約170~200km/h
車重 約1200kg 約950kg 約1100kg 約600~700kg 約950~1000kg
エンジン特性 滑らかでトルクフル 高回転型でスポーティ 高回転型でパワフル 高回転型で軽量高出力 回転フィールの良さ
ハンドリング 安定感重視のFR 軽快でスポーティ シャープで正確 軽量を生かした俊敏性 軽快でスポーティ

 

 

僕がまだ幼稚園生だった頃1960年代後半、日本車は性能面で欧州車に追いつこうと努力していました。

しかしながら、まだまだモノづくりの伝統の差が歴然。

エンジン性能、ハンドリング、ブレーキ性能、快適性など、総合的な性能ではまだ欧州車に及びませんでした。

 

そうしたなかで、スカイライン2000GTRやトヨタ1600GTなど、ポツポツと欧州のスポーツ車を脅かすような車が出始めた時期でもあったようです。。

 

碓氷峠BMWが日本車に煽られている場合ではなかった

高度なドライブ・テクニックが要求される碓氷峠旧道。

ヨーロッパの名車が国産のトヨタ1600GTにカモられてしまうという状況。

堪らず助手席の朝霞圭子は、ハンドルを握っていた主人公に引導を渡し、ドライバー交代。

彼女の鮮やかなハンドルさばきとシフトワークで、あっさりと1600GTを遥か後方に追い去ってしまうくだり。

当時の国産自動車の技術格差を象徴するかのようなエピソードだと思います。

 

ではBMW2000CS とはどんなクルマだったのでしょうか。またトヨタ1600GTは勝負に値するクルマだったのか?ちょっとまとめてみました。

 

 

1)エンジン性能

 ①エンジンブロックの材質と構造

  • BMW M10型:鋳鉄製ブロックで、堅牢かつ高剛性。シリンダー間の肉厚も十分に確保されており、高出力化にも対応しやすい設計。
  • トヨタ 9R型:アルミ合金製ブロックで、軽量化には貢献しているが、高回転時の振動や熱変形への対策が必要。

 ②吸排気系の設計

  • BMW M10型:吸気ポート、排気ポートともに、滑らかな形状で流体力学的に最適化されており、高回転域での充填効率が高い。
  • トヨタ 9R型:吸排気ポートの形状はBMW M10型ほど最適化されておらず、高回転域での充填効率に限界があった。

 ③点火系

  • BMW M10型:機械式ポイント点火方式だが、高回転域での点火タイミングの安定性に優れていた。
  • トヨタ 9R型:機械式ポイント点火方式で、高回転域での点火タイミングの安定性に課題があった。

 

 ④エンジン制御

 ・BMW M10型:機械式制御が中心で、シンプルな構造ながら信頼性が高かった。

 ・トヨタ 9R型:機械式制御が中心で、BMW M10型と同等の信頼性があったが、高度なエンジン制御技術はまだ発展途上だった。

 

これらの技術的な差により、BMW 2000CSのエンジンは、高回転域での出力特性やスムーズさ、信頼性において、トヨタ1600GTのエンジンを上回っていました。

2)サスペンション設計

  • BMW 2000CS:フロントはマクファーソンストラット式、リアはセミトレーリングアーム式を採用。この組み合わせは、当時の欧州車としては一般的で、ハンドリング性能と乗り心地のバランスに優れていました。特に、リアサスペンションのジオメトリーは、コーナリング時の安定性に貢献していた。
  • トヨタ 1600GT:フロントはダブルウィッシュボーン式、リアはリジッドアクスル式を採用。フロントサスペンションは高度な設計でしたが、リアサスペンションは、当時の日本車としては一般的で、乗り心地は良好なものの、コーナリング時の安定性やトラクション性能に限界があった。

2. 車体剛性

  • BMW 2000CS:モノコックボディを採用し、高い車体剛性を確保。これにより、サスペンションが設計通りの動きをしやすく、ハンドリング性能の向上に繋がっていた。
  • トヨタ 1600GT:ラダーフレームにボディを架装する構造で、車体剛性はBMW 2000CSに比べて劣っていた。これにより、サスペンションの動きが阻害され、ハンドリング性能に悪影響を与えていた。

3. 重量バランス

  • BMW 2000CS:フロントエンジン・リアドライブ方式で、前後重量配分は理想的な50:50に近い値。これにより、コーナリング時のバランスが良く、安定したハンドリングを実現。
  • トヨタ 1600GT:フロントエンジン・リアドライブ方式ですが、フロントヘビーの傾向があった。これにより、コーナリング時のアンダーステア傾向が強く、BMW 2000CSほどの安定感はなかった。

4. タイヤ

  • BMW 2000CS:当時の欧州車としては一般的なサイズのラジアルタイヤを装着。グリップ力が高く、ハンドリング性能の向上に貢献。
  • トヨタ 1600GT:バイアスタイヤを装着。グリップ力はラジアルタイヤに比べて劣り、ハンドリング性能にも影響を与えていた。

これらの要因により、BMW 2000CSは、トヨタ 1600GTよりも高いハンドリング性能を有しており、特に、高速コーナーでの安定性や、限界域でのコントロール性において、BMW 2000CSは優れた性能を持っていたのです。

よって碓氷峠で1600GTに勝ち目はなかったのです。

 

まとめ

 

BMWの里、ドイツバイエルン仕込みのドライブテクニックをもつ朝霞圭子に言わせたら、「たかが日本車風情がBMWを煽るんじゃないよ!10年早いんだよ!!」って言うところだったんでしょう。

 

さらには、トヨタヤマハ共同開発という優れたエンジンを与えられながらも、(予算都合で)ボディが(ださい)コロナということが、余計に彼女の強いBMW愛の逆鱗に触れたのではないかと思います。(前話の1600GTの写真をご参照ください)

肩や日産の好敵手GTRとは比較にならない凡庸なデザインです。

 

たまたま遭遇したクルマのめぐり合わせの悪さでバイバイ。

価値ある物を手に入れると、人生が変わるような出来事や素敵な人との出会が生まれると同時に、予期せぬ人々との競合や妬みも生じます。

手に入れたモノや道具に負けない生き方をしないと苦い思いをするのは世の常でしょう。

若い男が経験する理不尽な別れ。若いときだからこそ出来る経験です。

こんな経験を何度も重ねて男の味が出てくんだということを僕に教えてくれたクルマのお話でした。